その人らしさとは何でしょうか？その人らしさとは、独自の価値観のことです。独自の価値観は、特定の集団に帰属することでその集団の価値観を共有し、異なる価値観との摩擦によって形作られます。その人がどのような経験を積み、どのように歩んできたのかという個人の歴史がその人らしさです。

　高校生までは、周囲が作り上げた環境に責任を転嫁することができます。しかし、大学生になれば集団への帰属に選択権を有します。にもかかわらず、その人らしさを集団内に埋没させる人が少なくありません。あなたは、自らの考えで、見たい物を見ていますか？自らが帰属する文系、理系あるいは大学、学部、サークルといったカテゴリーに責任を転嫁していませんか？

　1984年にアメリカ合衆国ニューメキシコ州サンタフェにサンタフェ研究所という研究機関が設立されました。この研究所には物理学、社会学、経済学、情報学、心理学さらには芸術家に至るまで、様々なジャンルの研究者やアーティストが集まっています。そして、現在に至るまで革新的な科学の発信地として広く知られています。多様な物事に対する見方の摩擦が、まったく新しい革新的な物事の見方を生み出しているのです。

　多様な物事の見方を経験した人が優れているという訳ではありません。あなたらしさを見つけるためには、あなたとは違う物事の見方を体験し、摩擦を経験しなければならないのです。経営情報学部は経営、総合政策、観光、データサイエンスの4分野があり、まったく異なる物事の見方を体験することができます。個性は単なる可能性に過ぎません。摩擦と出会いを通じて、あなたらしさを育む場所が経営情報学部なのです。

経営情報学部長 六井 淳

プロフィール：
　信州大学理学部卒(1996)、北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士前期課程修了後(1998)、国際電気通信基礎技術研究所の研究員を経て、東京都西新宿にて電子商取引関連のITベンチャー企業の経営に従事。その後、北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程に進学し、統計的機械学習理論を用いた音声認識に関する研究にて博士号（情報科学）を取得（2003）。島根大学総合理工学部に教員として着任し、人工知能関連の研究に従事。2018年より、静岡県立大学経営情報学部に着任。現在は主に、社会的時系列情報の正確な予測を行う機械学習器の設計に興味を持つ。学生達との交流から、新たな研究のヒントを頂いている。